The DAO

ハッキングの悪夢《The DAO(ザ・ダオ)》

仮想通貨を比較的最初の頃から持っていた人にとって、未だに悪夢として語り継がれるThe DAO(ザ・ダオ)事件。
果たしてThe DAO(ザ・ダオ)とはどのようなプロジェクトだったのでしょうか。
実はかなり期待されていたプロジェクトだったのです。
その分、大きな資金が集まっていたため、ハッカーに狙われたというのも事実です。
今回はThe DAO(ザ・ダオ)について解説してきましょう。

The DAO(ザ・ダオ)ってなに?

The DAO(ザ・ダオ)はイーサリアムのプラットフォーム上に作られた分散型の投資ファンドです。
ドイツのスタートアップのサイドプロジェクトとして開発されました。
仕組みとしてはまずプロジェクトに参加を希望する人がDAOトークンをイーサリアムで購入します。
そしてそのDAOトークンを利用して、The DAO(ザ・ダオ)に発表されている企業やプロジェクトに対して投票し、その結果によりThe DAO(ザ・ダオ)の資金プールから資金が投資されるというシステムになっています。
投資対象となったプロジェクトは売上の一部をThe DAO(ザ・ダオ)に還元するような仕組みになっており、これらの契約は全てブロックチェーン上のスマートコントラクトによって管理されています。
そしてThe DAO(ザ・ダオ)の受け取った売上の一部が、最終的にDAOトークン保有者に還元されるというわけです。
これらのことを管理者不在で運営することができるというのが、The DAO(ザ・ダオ)の画期的な部分でした。

悪夢、ハッキング

当時、ICOとしては世界最大の資金を集め、注目度も高かったThe DAO(ザ・ダオ)でしたが、ハッキングの被害に遭ってしまい、保有していたイーサリアムを奪われてしまいます。
その額、364万1694ETH、当時のレートで約43億円にも到達します。
さらに現在のレートに換算すると…もはや想像もつかないような巨額の金額です。
この事件はThe DAO(ザ・ダオ)のコミュニティだけでなく、そのプラットフォームであるイーサリアムのコミュニティにも大きな波紋を呼びました。

苦肉の策、ハードフォーク

様々な意見が飛び交い、イーサリアム陣営が下した決断が、ハードフォークでした。
これはハッカーによってイーサリアムが盗まれる前まで、ブロックチェーンを遡り、そこから別のブロックをつなげてしまおうという方法です。
このハードフォークにより、ハッキングは無かったことになりました。
しかしこの決断は別の波紋を呼びます。

仮想通貨のあるべき姿とは、イーサリアムクラシックの誕生

イーサリアムはハードフォークを行い、ハッキングによって盗まれたイーサリアムは存在しなかったこととしました。
しかしこの決断に納得できない人たちがいます。
仮想通貨は非中央集権があるべき姿だ、それを一部の人たちの判断で、ハードフォークなどしていいはずがない、というのが彼らの主張でした。
その結果、ハードフォークで分岐する元のブロックチェーンの開発をそのまま続け、最終的にイーサリアムクラシックとして、そのコインは価値を持つことになりました。

The DAO(ザ・ダオ)は画期的なシステムだった(まとめ)

ハッキングによって計画は動かなくなってしまいましたが、管理者のいない投資ファンドというのはかなり未来のあるプロジェクトでした。
今後も魅力的なプロジェクトが出てくることを望んでいます。